アイカ工業株式会社 ジョリパット施工例コンテスト

コンテスト概要入選作品審査総評 審査総評
審査会
審査風景AICAジョリパット施工例コンテストの入選作品を決める審査会は、4月19日、アイカ工業東京本社内会議室において行われました。
今回のコンテストはインターネットによる応募受付という、他では例を見ない試みで行われました。そのため、審査員は応募作品全231点をそれぞれに確認して一次審査を行うという方法がとられ、当日はその中から厳選された作品をプロジェクターを使用して審査するという方法で進められました。

 

審査総評
審査委員長 押野見邦英(ケーオーデザインスタジオ代表)
審査委員長 押野見邦英数百点の住宅応募作品のなかから写真と作者の僅かのコメントのみで、優れた施工例を選び出す作業は、思いのほか手間のかかるものであった。数点の写真から住宅作品の全体像を把握し、その設計意図を吟味したうえでその材料や施工法の選択が適当なものであるかどうかの判断を要した。これはと思う正面外観写真を見てから裏や側面を見ると、その落差に驚かさされるような作品が多々あり戸惑った。ジョリパットのような左官仕上げはその手軽さ故に部分的な表層仕上げ材料として使われ易く、そうした場合には一貫性を欠いたデザインとならぬような配慮が必要であると思われた。従って入選作はそのデザインに必然性を感じさせるものが候補に上がり、なかでも最優秀賞の<中野の家>は白いキューブのミニマルな表現にジョリパットのプレーンな色とテクスチャーがまことに相応しく、とりわけ外観の特徴となっている細長い水平なスリットから光が半戸外空間を通じて射す様子は魅力的であるに違いないと感じさせた。優秀賞の<横浜山下公園M邸>はインテリア作品だが、繊維を混ぜたやや毛深いジョリパットのテクスチャーが独特の雰囲気を醸し出し、パラゴンのスピーカーから出る音を聞いてみたいと思わせるものがあった。<苦楽園M邸>は白と黒の外観の色分けが内部空間の違いとなって表現される建築的な一貫性を備えた好ましい作品であると思われた。<逗子のグループホーム>は荒削りではあるが、左官仕上げ材料の新しい可能性を示唆する作品として注目された。

 

審査委員 豊田正弘(新建築住宅特集 編集長)
「左官材を使用した住宅」という審査前の漠としたイメージからは想像もできないほど、多様な表現の作品が集まった。それは建築家の要求する微妙な色合い・テクスチャーに、この素材がよく応えていることの証しでもあろう。最優秀賞・磯部案の、内外からの視線に配慮した使用法は、シンプルで美しい都市型住宅を生み出した.また優秀賞も、上質なマンション改修のあり方を示した木下案、内外に貫入する黒と白のヴォリュームを軽快に表現した志柿案、シェルターとしての宙吊りのスクリーンを内外同じ仕上げで象徴的に表した小平案と、それぞれ個性にあふれたものであった。次回は、たとえば和風なども含め、さらに新しい建築表現への挑戦を期待したい。

 

審査委員 野田 近(アイカ工業株式会社 専務取締役)
第一回ということもあり、作品が集まるのかどうか不安に感じていたのですが、素晴らしい作品を多数ご応募いただき非常にありがたく感じると共に、ジョリパットという商品がいかに設計士・デザイナーの方々に愛されている商品なのかということを再認識することができました。
力作が揃う中、審査員一致で最優秀賞に選ばれたのが、「中野の家」です。刻々と変化する、スリットからもれる光が、やわらかくジョリパットの壁面に写りこみアクセントとなっています。内外装連続した素材を使用することと、ボイドに植えられた竹とが、内部と外部、1階と2階につながりをもたせています。ジョリパットの特性を活かし使用していただいた好例といえるのではないでしょうか。今後、本コンテストを継続し建築に従事されている方の目標になるコンペとしていく予定です。

 

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