化学物質・環境リスク管理

化学物質の管理

基本的な考え方

当社では、揮発性有機化合物(VOC)を含む有害な化学物質の排出・移動量の削減を化学メーカーとしての重要な責務と認識し、PRTR法対象物質の削減に取り組んでいます。近隣地域や外部環境に負荷をかけることがないよう、定期的な環境影響評価を実施しています。漏洩事故0件を年間目標に掲げ、様々な漏洩防止策を講じながら事業活動を行っています。

  • 「特定化学物質の環境への排出量の把握および管理の改善の促進に関する法律」(化管法)により、有害性のある多種多様な化学物質が、どのような発生源から、どれくらい環境中に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを把握、集計、公表する仕組み。

実績推移

対象範囲:アイカグループ国内全生産拠点

2018年度2019年度2020年度2021年度2022年度
73 72 69 64 69

環境法規の遵守状況など

2022年度は、アイカグループ国内拠点に対する監督官庁からの是正指示や、環境に関する訴訟はありませんでした。

近隣からの苦情と対応

2022年度において、アイカグループ国内拠点に寄せられた近隣からの苦情に対し、以下の通り対応しました。

発生場所内容概要

アイカ工業(株)名古屋工場

近隣エリアのごみ捨て防止要請

近隣住民の方から、工場周辺で空き缶やたばこの投棄が多いとの情報が寄せられ、指摘のあった路地の使用を禁止した。

アイカテック建材(株)名古屋工場 夜間の低周波振動 申し出られた方と敷地周辺を確認したが、発生源を特定できなかった。振動を感じた日時などを記録していただきコミュニケーションを継続することとした。

アイカテック建材(株)名古屋工場

騒音 設備の不具合が出た際に情報が寄せられているため、屋外に設置しているサイロなどの設備点検を強化することとした。

環境事故の発生

2022年度、アイカグループ国内拠点において敷地外へ影響を及ぼす以下の事故が発生しました。関係者の皆さま、監督官庁の関係者にご迷惑をおかけしないよう、グループ内で情報を共有し、対応を水平展開していきます。

発生場所内容対応
アイカ工業(株)広島工場
(生産品の積み替え保管場所)
荷締めが不十分であったため、運搬時にコンテナが転倒し樹脂が漏洩。処理時に樹脂が含まれた洗浄水を不用意に放流 漏洩した樹脂をたどり、全回収。危険物ではなかったものの、再発防止に向けて樹脂漏洩時の処理方法およびコンテナの荷崩れ防止・積み込み作業に関して教育を実施。

土壌、地下水調査

過去に有機塩素系溶剤、有害重金属などを使用した履歴のあるアイカ工業(株)および国内グループ会社の工場を対象に、2001年度から自主的に土壌、地下水の汚染状況の調査を開始し、2003年度までに完了しました。その結果は下記の通りです。

拠点名自主調査結果
アイカ工業(株)※2名古屋工場 環境基準適合
甚目寺工場 環境基準適合
広島工場 環境基準適合
茨城工場 環境基準適合
アイカインテリア工業(株)本社工場 環境基準適合※1
アイカハリマ工業(株)本社工場 環境基準適合
加西工場 環境基準適合
  1. アイカインテリア工業(株)が取得した工場用地にて、表層のみの調査を行ったところ、基準を超過するフッ素が1箇所(10m×10m)で検出されましたので、雨水などの浸透防止処置を行いました。
  2. 福島工場、丹波工場は土壌環境基準が設定されている物質を過去および現在不使用のため調査対象から外しています。

PCB保有・管理状況

ポリ塩化ビフェニル(PCB)は蛍光灯の安定器などに使用されていましたが、カネミ油症事件(1968年)を契機にその毒性が社会問題化し、1972年以降製造中止となりました。その後、民間主導で全国39カ所で処理施設の設置が試みられましたが、いずれも住民同意が得られず、30年以上、処理されない状態が続きました。
2016年3月に、政府はこの事態を打破すべく、事業所ごとの計画的処理完了期限(最短で2018年度末)を遵守して一日でも早く確実に処理を完了するために、必要となる制度的な措置を講じようと閣議決定を行いました。
当社は基準に従い保管していたPCB廃棄物の処理を計画的に進めており、2022年度中に全ての高濃度PCB廃棄物の処理を完了しました。