植物由来のフェノール樹脂を使用したメラミン化粧板を開発

  • 化粧板

No.122M53
2022年1月24日

植物由来のフェノール樹脂を
使用したメラミン化粧板を開発
バイオマス度60%を実現。100%化を目指し、さらにサステナブルな建築素材へ 

 アイカ工業株式会社(代表取締役 社長執行役員:小野勇治 本社:愛知県名古屋市中村区)は、植物由来のフェノール樹脂(リグニンフェノール樹脂)を使用したメラミン化粧板の開発に成功しました。今後、サンプルワークを行いながら、量産化に向けたスケールアップを行っていきます。

  • ▲リグニンの粉末

  • ▲リグニンを使用したメラミン化粧板

開発の背景

 気候変動問題に対応すべく、カーボンニュートラル(温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロ)に向けた取り組みが各方面で推進されています。樹脂製品を扱う当社としても、GHG排出量削減のため、バイオマス原料を活用した製品の開発に取り組んでいます。
 当社の主力製品であるメラミン化粧板は、家具・什器・パーティションの表面材として広く使用されている建築素材です。原材料の50%程度が紙であり、バイオマス(生物由来資源)を利活用する製品として、一般社団法人日本有機資源協会のバイオマスマーク(バイオマス度50%)を2013年3月に取得しています。耐久性が高く家具・什器等の長寿命化にも寄与しており、環境負荷が低い製品であると言えます。
 環境対応の重要度がますます高まる中、より地球環境にやさしい製品へと進化させるべく、メラミン化粧板の樹脂原料の一部に植物由来のフェノール樹脂であるリグニンフェノール樹脂を使用する技術を確立しました。これによりバイオマス度は60%となり、石化原料を従来のメラミン化粧板より20%削減しています※1
 また、製品廃棄時のCO2排出量も、従来のメラミン化粧板に対して20%削減となります※2。リグニンフェノールに切り替え可能な全製品に展開すると約1,300t/年のCO2削減が見込め※3、これを杉の木で換算すると約9万本が1年間で吸収するCO2に相当します※4
 今後は、2022年3月(予定)よりサンプルワークを行うとともに、2022年3月1日より4日間開催される国内最大級の店舗総合見本市「JAPAN SHOP 2022」に出品予定です。一部のメラミン化粧板アイテムではバイオマス度70%の仕様確立も視野に入っており、メラミン化粧板国内シェアNo.1メーカーとしての責務を果たすべく引き続き開発を進め、100%バイオマス化したメラミン化粧板の実現も目指します。サステナブル素材を使用した製品やGHG排出量削減に寄与する製品を開発し、SDGs(持続可能な開発目標)の達成とサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

※1 一般社団法人日本有機資源協会のバイオマスマーク(バイオマス度60%)取得申請中。
※2 製品のライフサイクル(原材料の採取から廃棄まで)におけるCO2の排出量計算について、バイオマス成分は廃棄時(燃焼時)のCO2排出量をゼロとして計算できる。
※3 現時点で判明している情報を元に自社算定した数値。
※4 環境省・林野庁作成『地球温暖化防止のための緑の吸収源対策』によると、杉の木1本(杉の木は50年杉で、高さが約20~30m)あたり、1年で平均してCO2約14kgを吸収しているとされている。

製品および原料について

<メラミン化粧板とは>
 メラミン化粧板は、紙とメラミン樹脂、フェノール樹脂を原材料として製造した建築素材です。①豊富な色柄・仕上げ、②耐熱性・耐水性・耐摩耗性に優れた高い表面物性、③優れた加工性・施工性、といった特長があり、テーブル・家具・什器・パーティションの表面材として広く使用されている当社の主力製品です。コア技術である化学合成技術を活かし、抗ウイルス、消臭、不燃、指紋レス、スクラッチレスなど、さまざまな性能を付加することを当社は得意としており、国内トップシェアを誇ります。

<リグニンフェノール樹脂とは>
 植物を構成する3大要素として、セルロース、ヘミセルロース、リグニンがあります。中でもリグニンは、植物を構成する上で天然の接着剤として機能しています。セルロースとヘミセルロースは製紙原料として広く利用される一方、副産物として同時に抽出されるリグニンは活用が進んでおらず、ほとんどが焼却・熱回収されるにとどまっていました。しかし、気候変動問題の深刻化によってバイオマス原料の活用がより一層求められる中、食料・飼料にならない非可食性バイオマス原料として、注目が集まっています。リグニンは地球上に豊富に存在しており、その活用が進めば、石油から非可食な植物資源に原料を転換することが可能となり、二酸化炭素の排出抑制および化学製品のグリーン化の促進への寄与が期待されています。
 このリグニンを活用したフェノール樹脂が、リグニンフェノール樹脂(Lignin-Phenol Formaldehyde Resin;LPF)です。なお、当社グループにおいては、2019年にアイカ・アジア・パシフィック・ホールディング社(略称:AAPH、本社:シンガポール)が、リグニンとフェノール樹脂を組み合わせたリグニンフェノール樹脂の開発に成功しています。性能や作業性が一般的なフェノール樹脂同等であることに加え、コストは高くなく、保存性が高いことが特長です。現在は日本国内でも合板用接着剤としての商用化に取り組んでいます。
 *メラミン化粧板に使用しているリグニンフェノール樹脂は、AAPHが開発した樹脂ではありません。

サンプルワーク開始時期

 2022年3月(予定)



以上

注)このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、ご覧になった時点で内容が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。なお、最新の情報は、 こちらよりお問い合わせください。

  • 年から探す

  • カテゴリーから探す