AICA 2013年施工例コンテスト AICA Project Reference Contest

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審査総評

審査委員長

芦原太郎(建築家・日本建築家協会会長)

数多くの応募作品のなかでアイカの製品が様々な形で活躍している姿を見ながら楽しく審査をさせて頂ました。
素材の使い方にはまだまだ色々な可能性があることや素材を生かしてこそ空間は魅力的になることに改めて気づかされました。
中でも、最優秀賞<nana’s green tea グランフロント大阪店>のメラミン化粧板は本物に似せるフェイクの世界を通り越して全く新しいものになっていることに驚かされました。
化粧板は木目や石肌を精巧に模倣する技術は素晴らしく進歩していますし、使い方を工夫することで新しい展開が見えてきます。
また、<葉っぱの涼屋>のジョリパットの使い方にも目を見張らされました。
ワークショップで参加した人々の手作りでここにしかないアートワークとも言えそうな壁面が創り出されています。
この施工例コンテストが素材の使い方のさらなる展開やメーカーとの対話の機会として継続していく事を望んでいます。

五十嵐久枝(インテリアデザイナー)

バランスのとれた審査結果となり、満足しています。
住宅作品ではシンプルな白い箱をベースとしたオリジナリティある空間が多く、興味深く拝見しました。それぞれのライフスタイルや価値観の編集作業が着実に向上していることを感じさせます。ベーシックカラーのジョリパッドは内外装で多くの作品に見ることができた製品です。また、カラーを積極的に使う作品が目立ってきたことは個人的にも嬉しく感じています。今後もカラーチャートが充実し続けることは空間の豊かさに通じると感じています。素材や機能と合わせて選択できることは、全体から詳細までの完成度を高めてゆきます。ほかにも注目したい素材は「人工木」です。天然木に代わる素材から、人工素材の特性を活かした難易度の高い造作にまで貢献してきています。今回も形状の難しさや均一化を実現させている作品が選出され、注目を集めました。今後も環境やコストを考慮するとともに造形の可能性に期待したいと思っています。そしてまた、素晴らしい作品と出会えることを願っています。

山倉礼士(『月刊 商店建築』編集長)

多数集まったの応募事例は、住居、非住居、リノベーション事例など分野問わず、総じて印象に残るものが多い審査だった。
優秀賞以上のプロジェクトについては、最優秀賞の「広間と土間」というカフェ空間とリノベーション事例の「遊中川 奈良本店」が極めて上質で印象に残っている。この二つは、アイカ製品の備える「新しいデザインへの親和性」と、歴史ある建物での「伝統素材と調和する匿名性」がそれぞれ非常に高いことを感じた。ともにオリジナリティーがあり、かつ洗練されたデザインが実現しており、「広間と土間」では、円形パーティションに囲われた客席は居心地が良く、巨大商業施設内での“安らぎ”の場として機能していることも記しておきたい。
また、いわゆる建材としての使用にとどまらず、落ち葉を用いてアーティスティックな表現となっていた「葉っぱの涼屋」など、設計者のアイデア次第で、これまでに見たことのない魅力的な提案があったことは今回のコンテストで強く印象に残っている。

伊東善光(アイカ工業 専務取締役 営業カンパニー長)

今回も住宅・非住宅、新築・リノベーション問わずあらゆるジャンルを応募対象とし、また対象商品もアイカの全商品ということで、前回に引き続き大変多くの作品を応募頂きました。作品はどれも質の高い力作揃いで、住宅、非住宅、リノベーションを含めた審査は非常に難しいものでありました。
分野でみるとリフォーム・リノベーションについては前回以上に応募頂きましたが、この分野におけるアイカ商品はまだまだ不足していると実感しました。商品的にはジョリパットの応募が圧倒的に多く、ここ数年リリースしている新商品の告知不足も感じました。
アイカは素材メーカーです。設計の皆さまにいかに調理して頂くかが重要になってきますので、今後もニーズにお応えできる製品開発をしてまいります。
コンテストを通じて、皆様とより一層コミュニケーションができる様、コンテストは継続していく予定です。