敷地は北側の眺めのよい道路と南側の道路に挟まれる条件。施主からはローズガーデンのある、個性的な特徴ある建築形態と地域に配慮したデザインが要望された。
その為北側への眺めを確保するプライベートゾーンと南側への開放感を確保するパブリックスペースを3つのボリューム（車庫・ファミリーダイニングキッチン+和室・フォーマルリビング）のまとまりで構成。このような平面的配置により、建築単体の表情はボリュームの面白い複雑さが演出される。
また南側の庭側の印象と北側の印象は異なり、その異なり方をボリュームの差異だけでなく、化粧材料として仕上げ材料も含め微妙な差異を左官仕上げで表現しようと意図した。 ジョリパットの高親水性による美観保持とグレードアップした対候性を信頼し、建築全体の形態には仕上げにはジョリパットネオのゆず肌、R形状のボリュームには玉ふりを採用。同じカラーでありながら、異なる左官仕上げのテクスチャーがザックリとしたやわらかい印象を作り出し、ボリュームの面白い複雑さの非表現を表現している。
以上により閑静な住宅地において周辺環境に配慮しデザインを主張するという矛盾した要素を克服することに成功している。

階段部分の見下ろしアングル。やわらかなザックリな空間にやわらかな動線形状
■外壁、ゆず肌、玉ふり(2009）

 

閑静な住宅地に配慮した控えめに見える主張する建築形態 ■外壁、ゆず肌、玉ふり（2009）

同じカラーでありながら、その仕上げの差異を建築形態のR形状と直線形状の差異に重ねた。 ■外壁、ゆず肌、玉ふり(2009)

 

北側のボリュームと南側のボリュームの接続部のズレの空間のリビングからのダイニングの眺め ■外壁、ゆず肌、玉ふり(2009)