AICA Shop design contest
  1. HOME > 
  2. コンテスト情報 > 
  3. 第2回アイカショップデザインコンテスト > 
  4. 審査総評
コンテスト概要
入賞作品
審査総評
杉本貴志 (株式会社スーパーポテト代表)
まず気が付くのはコンテスト全体にかなりと言っていいレベルの表現が出来ている。 勿論、個々のデザイナーの意識によるのだが、そうしたことを支える意識が今一般的に存在している事を強く感じるのである。

その中で、
【1】 「JIN’s GLOBAL STANDARD新砂店」
ある意味では、無器用で少々固い。しかしそこがいいのである。店舗がついつい持とうとする媚のようなものが希薄なのである。新しいものは、固く見えるのである。

【2】「東京大学 森川研究室」
この空間での行為のスタイルとセンスが極めてスムーズに一体化している様に想像される。

【3】「和譲良麺 すがり」
多少綺麗すぎる感は有るけれど、肩の力が抜けていて、気持ちが楽に感じられる。

【4】「Produce 成瀬店」
まあ、こういう空間も有りか?という微妙さは残るけれども、そうした事を軽く流してしまう軽さと上質さが残っているのではないか。 多分これらの作品は、それぞれの日常生活を背景にしながらも、ちょっとした気持ちのいい緊張感を求めたのだろうし、又それが今大事な事なのだ。
 
神谷利徳 (株式会社神谷デザイン事務所代表)
ショップデザインを審査するのは、実に難しい作業である。
まずデザインとは何かという事を今の時代に置き換えてみなければならない。
それは形だけにとらわれないある種のメッセージを含んでいなければ、伝わらないどころか意味さえもなくなってしまう。

では、今の時代のメッセージとは何なのだろう?
洗練された高いレベルでのデザイン性はまず当然としても、そのマテリアルの持つ力を上手く引き出せているか?社会や環境、そして未来に必要とされているのか?そんな事を考えているとデザインとは表層しか捉えていないのではないかという気持ちになってくる。

しかし、今回の最優秀賞の作品は環境的にもデザイン的にも完成度の高いものであった。
デザインとはディティールの集合体であるだけでなく、そこにリズム感や楽しさがみえるもの。
だからデザインする事は、楽しく、心を元気にし、ついでに地球をも元気にする力であってほしい。
今後はそのようなデザインに期待している。
 

笈川 誠  (「月刊 商店建築」編集長)

空間、特に実現された商空間に絞り、そのデザイン性について優秀作品を選ぶというのは困難な作業である。

“デザインとは何か”について深く踏み込んで考えることを要求されることもあるが、そもそも多様性を持った同じベクトル上にないものをある一定の評価軸で計るのであるから回答に正誤はないわけで、統一の見解を生むには無理が生じる。

しかし今回、それは杞憂に終わった。
理由を事後に考えてみたが、それは結局のところ、与件に対してどれだけ広く深く思考し、それを素材選びや施工技術という現実に落とし込むことができているかという評価軸が審査員に共通してあったということだと思う。
受賞した作品(デザイナー)には、単なるアイデアをフィロソフィーにまで昇華させるだけの地道で丁寧な思考(試行)の奥深さが見て取れた。

発想のレイヤーを一枚一枚積み重ねて塊にまで仕上げる才能の数々に、喜びと期待を感じたコンペティションであった。
 
審査委員 野田 近
質の高い作品が多く集まり、レベルの高い審査となりました。最優秀賞に選ばれた「JIN’s GLOBAL STANDARD新砂店」はランダムに切り取られた窓と鏡が、遠近感をくるわせるような不思議な雰囲気をもつ空間を創り出しています。その白い壁面に弊社のジョリパットシルキーパレットが使用されています。
シルキーパレットとは、厚生労働省シックハウス問題検討会が定める13物質を使用していない、やさしい肌触り・低臭性・防カビ性・防火性を有する環境に配慮したジョリパットの内装専用版です。当初は健康住宅用にと開発された商品でしたが、物販店においてはやさしい肌触りが商品にキズをつけないという点が評価され、多くご採用いただいています。
左官仕上げのやわらかな質感が、シャープな空間にあたたかさを与えており、ジョリパットシルキーパレットの特性を活かし使用していただいた好例といえるのではないでしょうか。

他の作品も、弊社商品の新しい使い方を示唆しているものが多く、今後の商品開発等に活かしていきたいと感じました。
ご応募いただいた皆様、審査委員をお引受け下さった杉本先生、神谷先生、笈川編集長、運営にご協力いただいた全ての皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。
 


アイカショップデザインコンテスト アイカ工業株式会社