AICA 2019年施工例コンテスト AICA Project Reference Contest

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入選

SAKURA PASSAGE FUNERAL HALL

設計/
百枝優建築設計事務所 撮影/YASHIRO PHOTO OFFICE
  • ホール内観。⽊漏れ⽇のような光が、明るく柔らかな祈りの空間を演出する

    使用部材
    外装(壁): ジョリパットアルファ ゆず肌(JP-100T1703)
    内装(建具・家具): メラミン化粧板(K-6300KN)
  • 「真壁」を踏襲し、外壁をジョリパットで仕上げた。
    壁をふかし、⽅杖勾配に合わせた⾬樋を収めている。

  • 桜並⽊通りから⾒た外観。春には花⾒が⾏われる

美しい桜並木と響き合う
パサージュのような室内風景

福岡にある「雑餉隈桜並⽊通り」に隣接した葬祭場。春には、この600mに渡る桜並⽊に多くの花⾒客が訪れる。桜は花⾒などの「祝祭」のイメージと共に、⼀瞬で散ってしまうはかなさが「葬い」を連想させる。そこで⽊造の⽅杖架構を桜並⽊に⾒⽴てることで全体を構成し、並⽊の間を室内に置き換えた建築を考えた。4列の⽊架構が帯状の平⾯を構成することで、待合、祈り、お⾒送りという⾏為が隣合う。そして並⽊の架構を通過する中で別れの儀式が進んでいく。仕上げと構造の関係において「真壁」を再解釈することを試みた。
柱をほんの少し太らせ、横架材をジョリパットで覆うことで⽊架構の垂直性を際⽴たせる。基本の柱スパンを半間、開⼝が必要な箇所を1間とし、スパンに合わせ上部の⽅杖のリズムを変える。そうすることで「建築」を「並⽊」に近づけようとした。また柱に対して斜めに接続する⽅杖を平⾯的に「非対称」にし、より「⾃然」に近い構造体をつくろうとした。架構ユニット単体では不均衡であるが、それぞれが連なることで全体として⼤きなトラス梁を形成している。室内では柱と⽅杖、梁が連続することでパサージュのような風景が⽣まれる。天窓からは⽅杖越しに⽊漏れ⽇のような光が零れ落ち、桜並⽊を眺めながら最後のお⾒送りが⾏われる。