AICA 2019年施工例コンテスト AICA Project Reference Contest

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特別賞 新商品賞

iino naho 千駄ヶ谷店

設計/
K E I K O 十 M A N A B U 内山 敬子、沢瀬 学 撮影/Naoki Honjo
  • 楕円壁から連続して展⽰カウンターとなり床へ、材の特性を⽣かし⼩⼝を塗り回し各空間の⼀体感を⾼めた

  • 前⽅内壁は外部と同左官材とし透明な開⼝と相って
    内外の境界が曖昧になり、目前の御苑との連続性を⾼めた

    使用部材
    外装・内装(壁): ストンアート(CS01、CS02)

内外連続する楕円弧壁が誘う
ガラス作家、イイノナホの世界

⽇暮れころ、樹齢百歳を超えるエノキやラクウショウなど巨樹々が⽣い茂る新宿御苑の中をフクロウが⾃在に巡る。⽊々の碧越しに、感謝の花を両⼿で抱え捧げたような楕円の窓辺に、光り輝く無数のガラスの果実。ガラス作家イイノナホがよく、笑い、泣き、⾛り回って育った想い出溢れる故郷の地、千駄ヶ⾕門からケンケンパをしながら辿り着くこの場所に直営店を構えた。
まっすぐ新国⽴競技場まで続く庭園沿いの道すがらに、内外連続する柔らかな左官のアーチ壁が、イイノナホの世界へ誘う。楕円弧は上下反転しながらあちこちに軌跡を描き、その跡が飾棚となり、カウンターエッジとなって、店内を柔かく仕切っている。目地なしでさらに⾃然で上品な風合いの質感のストンアートは、それに呼応して、微細に光を吸い、ときに照り返して作品の背景の地となっている。
イイノナホの作品たちは、解き放たれた旋律が結晶した様に、今の気持ちが⾊を纏った様に、そこここに時を留めて、⼤⼩さまざまに輝く。御苑のかたすみに、初めて⾒るのにどこか懐かしい宝⽯に溢れた、ヒミツ基地は、柔かく⼈へ、宙へ、壁へ、窓へ、そして⼼の奥底へ、光を放つ。