化学物質・環境リスク管理
化学物質管理
基本的な考え方
当社では、揮発性有機化合物(VOC)を含む有害な化学物質の排出・移動量の削減を化学メーカーとしての重要な責務と認識し、化学物質排出量・移動量届出制度(PRTR制度※)対象物質の排出・移動量の把握に努めています。大気排出前には、燃焼装置や電気集塵機などを活用し、水域排出前には、凝集沈殿法や活性汚泥法による排水処理を行い、有害物質の除去を行うとともに、近隣地域や外部環境に負荷をかけることがないよう、定期的な環境影響評価を実施しています。漏洩事故0件を年間目標に掲げ、さまざまな漏洩防止策を講じながら事業活動を行っています。
- 「特定化学物質の環境への排出量の把握および管理の改善の促進に関する法律」(化管法)により、有害性のある多種多様な化学物質が、どのような発生源から、どれくらい環境中に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを把握、集計、公表する仕組み。
PRTR制度対象物質 排出・移動量推移
対象範囲:国内グループ生産拠点
(ton)
| 2020 年度 | 2021 年度 | 2022 年度 | 2023 年度 | 2024 年度 |
|---|---|---|---|---|
| 69 | 64 | 69 | 68 | 64 |
環境リスク管理
アイカグループでは、ISO14001をもとに環境マネジメントシステムを運用し、環境負荷低減・法令順守に努めるとともに、事故や法令違反が発生した際には速やかに対策を講じています。2024年度は、国内グループにおいて環境法規違反はありませんでしたが、漏洩事故が1件発生しました。再発防止策を講ずるとともに、各拠点に本事例を共有し注意喚起を行いました。
2024年度に発生した環境事故
| 発生場所 | 内容 | 対応 |
|---|---|---|
| アイカ工業㈱甚目寺工場 | フェノール樹脂容器洗浄水漏洩 | 洗浄水を廃水タンクから廃液ピットに移送する際、ポンプの停止確認の不徹底によりオーバーフローし、工場外の排水路まで流出。土嚢にてせき止め、全量回収。対策として、ポンプの自動停止装置および廃液ピットの水位センサーを設置するとともに、作業手順を一部見直し。 |
PCB保有・管理状況
ポリ塩化ビフェニル(PCB)は蛍光灯の安定器などに使用されていましたが、カネミ油症事件(1968年)を契機にその毒性が社会問題化し、1972年以降製造中止となりました。その後、民間主導で全国39カ所で処理施設の設置が試みられましたが、いずれも住民同意が得られず、30年以上、処理されない状態が続きました。
2016年3月に、政府はこの事態を打破すべく、事業所ごとの計画的処理完了期限(最短で2018年度末)を遵守して一日でも早く確実に処理を完了するために、必要となる制度的な措置を講じようと閣議決定を行いました。
当社は基準に従い保管していたPCB廃棄物の処理を計画的に進めており、2022年度中に全ての高濃度PCB廃棄物の処理を完了しました。