トップメッセージ

代表取締役 社長執行役員

新中期経営計画のもと、
資本効率を意識した経営に取り組むとともに、
「気候変動対応」「人的資本経営の基盤構築」に注力します。

当社は、「共生の理念のもと、たえざる革新により新しい価値を創造し、社会に貢献する」ことを経営理念とし、この理念を体現すべく事業活動を通じてさまざまな社会課題解決に取り組み、ステークホルダーの皆さまとともに発展してきました。

当社グループを取り巻く経営環境は、めまぐるしく変化し複雑化しています。このような時代を生き抜くためにも、ESGを中心としたサステナビリティに関する取り組みはますます重要度を増しています。持続可能な社会の実現に向けて、ステークホルダーの皆さまと積極的に対話し、現在取り組んでいるマテリアリティの目標を着実に実行することは企業としての責任であり、当社の企業価値を向上する上で必要不可欠な要素であると考えています。

これからもサステナビリティを重視した経営を推進し、豊かな社会の形成に貢献するとともに、変化に強い、よりサステナブルな企業となることを目指してまいります。そして、アイカグループを、従業員にとっては"誇れる会社"に、お客さまや株主にとっては"なくてはならない、かけがえのない会社"にしたいと考えています。

新中期経営計画「Value Creation 3000 & 300」の始動

2023年度は、本来であれば第2次中期経営計画「Change & Grow 2400」の最終年度に当たりますが、その売上高目標を1年前倒しで達成したことに加え、目まぐるしく変化する外部環境に迅速に対応するため、第3次中期経営計画「Value Creation3000 & 300」を策定し、今年度より移行することとしました。

「Change & Grow 2400」を始動してからの2年間は、化成品・建装建材、国内・海外、それぞれのセグメントにおいて、新規市場への進出や製造能力の増強などが実現し、着実に一歩前に進むことができた期間でした。一方で、社会の変革スピードがますます速まる中、財務面では収益性・効率性に課題を残したことに加え、非財務面では人的資本および自然資本に関する課題が重要度を増していると認識した期間でもありました。

これらの背景から、「Value Creation 3000 & 300」において以下の通り経営指標を掲げました。財務面では新たにROIC目標を取り入れ、従来以上に資本収益性や資本コストを意識した経営に取り組む所存です。事業別のROICをもとにポートフォリオを改善するとともに、新たな成長事業の創出へ積極投資し、当社グループを新たな成長軌道に乗せていきます。また、非財務面では特に重要な項目として「気候変動対応」「人的資本経営の基盤構築」に関する目標を経営指標に組み込みました。これまで以上に強い推進力をもって結果の伴う施策を検討・実行してまいります。

新中期経営計画「Value Creation 3000 & 300」経営指標

→新中期経営計画「Value Creation 3000 & 300」の詳細はこちらをご覧ください。

新中期経営計画におけるマテリアリティに対する取り組み

前中期経営計画で掲げたマテリアリティを踏襲しつつ、それぞれの項目に新たな目標を設定しました。ここで掲げた目標は、企業として存続していくために必ず取り組まなければならない重要なテーマであり、事業成長に向けた戦略とバランスを取りながら、強い推進力をもって取り組んでいきます。特に、新中期経営計画においては、「気候変動対応」と「人的資本経営の基盤構築」に注力します。

新中期経営計画マテリアテリティ

→マテリアテリティの詳細はこちらをご覧ください。

気候変動対応

2050年カーボンニュートラルを宣言するとともに、温室効果ガス排出量を2022年度比で2026年度までに14%、2030年度までに30%削減する目標を設定しました。さらなる事業規模拡大を目指している当社にとって難易度の高い目標ではありますが、地球上で事業活動を行う企業としての責務と危機感を持ち、総量削減に取り組んでまいります。また、気候変動に応じたニーズの変化を新たなチャンスと捉え、化成品・建装建材の両セグメントにおいて気候変動に対応する商品の開発・提供を推進します。直接的に温室効果ガス排出量削減に寄与する商品だけでなく、廃棄物削減や省施工といった社会課題の解決につながる付加価値の高い商品を開発・拡販し、SDGs達成に貢献します。

アイカグループ 温室効果ガス排出量削減計画(スコープ1&2)

人的資本経営の基盤構築

当社が抱えるビジネス課題に対してどのような人材が必要か改めて整理し、それに対応できる人材を育成するための目標を掲げました。これまでの人材育成を振り返るとやはり不十分であったと感じています。適切な投資により人材育成と環境整備を強化することで、個人のスキル向上だけでなく、エンゲージメントの向上、ひいては会社全体の労働生産性の向上にもつなげていけると考えています。海外売上高比率が年々高まる当社にとって、グローバル人材の育成は大変重要です。今いる従業員の教育に注力しつつ、外国人の採用も積極的に進めていきたいと考えています。
また、女性にはもっと活躍してほしいと考えており、女性従業員の採用比率目標を新中期経営計画に組み込みました。海外拠点では既に多くの女性が管理職として活躍していますが、日本においてはまだ遅れていると言わざるを得ない状況です。引き続き、男女問わず優秀な人材に活躍してもらうための環境整備、制度改定に積極的に取り組んでまいります。

アイカグループ 人的資本経営に関する主なKPI

新中期経営計画における資本政策

新中期経営計画においては、「財務健全性の維持」「資本効率の向上」「株主還元の重視」この3つのバランスを重視した資本政策を実行し、資本配分を最適化していきます。
さまざまなリスクに直面したとしても、従業員やお取引先さまに迷惑をかけず安定した事業運営を継続していくためには、財務の健全性を確保することが重要であるとの認識から、必要な手元流動性および自己資本比率の基準を明確にしました。その上で、持続的な企業価値向上にとって最も重要であるのは資本効率の向上であるとの認識をもとに、これまで重要財務指標として採用していたROEに加えて、新たにROIC目標を掲げ、ポートフォリオの最適化や、資本コストを意識した投資に対する方針も定めました。配当方針については、新たに「減配をしない累進配当の継続」を基本方針に加え、その上で機動的な自己株買いも検討していく所存です。

サステナビリティ向上に資する重要会議体について

サステナビリティ(持続可能性)を高めるための活動は企業を支える屋台骨であり、各種会議体を中心に深化を図っています。今回は、主要な3つの会議体について、取り組みや進捗をお伝えしたいと思います。

サステナビリティ推進委員会

中期経営計画に組み込んだマテリアリティの進捗管理をしている重要な会議体です。私が委員長を務め、それぞれの活動の進捗は四半期に1回の頻度で取締役会に上程しています。各担当部門はマテリアリティに対して設定したKPIを達成すべくアクションプランを策定して活動を進めています。やるべきことはたくさんありますが、優先順位をつけて全社的に進めていく体制が整っています。

リスク評価会議

2022年4月に本会議体を設置し、従前よりもリスクの見える化が進みました。2023年3月に実施した2回目の会議以降、リスクのマネジメント状況も報告する体制になり、対策を講じるべき課題がより明確になりました。このサイクルを回し、年々内容を充実させていくことで、さらにリスクに対してのレジリエンスを強化できると考えています。

海外グループガバナンス委員会

委員会の設置から3年が経過し、現地の統括会社とアイカ工業の連携が強化されたことで、海外グループ会社に対するガバナンスレベルが随分向上しました。重要なテーマを十数項目選定し、それぞれのテーマの担当部門から毎月数テーマずつ取締役会に進捗を報告させています。海外へ往来しやすくなり、さらにガバナンスレベルを上げていくことができると考えています。私自身も海外拠点に積極的に赴き、現地の声を吸い上げてグループ間の連携を強化していきます。