コーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
アイカグループは、国内外グループ各社の「コーポレート・ガバナンスの強化」を通じて、企業価値および株主共同の利益の確保・向上を図りたいと考えています。
当社は監査等委員会設置会社を選択しています。監査等委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が、業務執行の適法性および妥当性の監査・監督を担うことで、より透明性の高い経営を実現し、一層のコーポレート・ガバナンスの強化を図るとともに、国内外のステークホルダーの期待により的確に応えうる体制の構築を目指します。
企業統治の体制および内部統制の仕組み(2024年6月25日現在)
コーポレートガバナンス強化のあゆみ
取締役会の実効性
当社では、取締役会の実効性を検証すべく、毎年すべての取締役(監査等委員である取締役を含む)に対して取締役会の構成、運営および議題ならびに取締役会を支える体制に関するアンケートを実施し、それらの結果に基づき、取締役会の実効性の評価を行っています。
2024年2月に実施したアンケートの結果は、前年同様、すべての項目において課題(3名以上の取締役が「不十分/不適切」と回答した項目)と判定した項目はなく、ほぼ「適切または一応適切」の回答が得られ、当社の取締役会は適切に機能しており、取締役会の実効性は確保されていることを確認しました。
2023年度 実効性の向上に向けた取り組み
取り組み | 状況 |
---|---|
取締役会資料中の用語説明、過去からの経緯、過去の付議内容、重要案件の事前説明 | 重要または複雑な議題について、概ね用語説明、経緯説明、事前説明が実施されている。 |
ガバナンス委員会、取締役会での経営陣幹部、執行役員の選解任案の理由説明、審議 | タレントマネジメントシステムの活用、審議資料の充実、選任候補者の会議での発表など、従前に比べ審議内容の向上が図られた。 |
取締役会のトレーニング方針
新任社外取締役については、就任時に当社および当社事業に関する理解を深めるために経営方針の説明を行っているほか、ショールームや工場の視察などを実施しています。また、就任後も必要に応じて事業理解を深めるために、国内外の拠点監査や視察の機会を提供しています。すべての取締役については、取締役に求められる役割と責務を十分に理解できる機会を提供し、就任後においても外部講師を招いての「取締役セミナー」を定期的に開催するなど必要知識の更新に努めています。
トレーニング実施内容はガバナンス委員会にて報告し、委員会からの助言も参考に、これらの対応が適切にとられているか否か確認しています。
ガバナンス委員会
2016年4月より取締役会の任意の諮問委員会として、社外取締役(4名のうち2名は監査等委員である取締役)を主な構成員とする「ガバナンス委員会」を設置し、経営陣の指名・報酬を含めたガバナンスに関わる重要事項を審議し、企業の持続的な成長と統治機能のさらなる充実を目指しています。2023年度は、5回開催しました。監査等委員会設置会社への移行に伴い、監査等委員会とガバナンス委員会の内容重複がないこと、また、監査等委員会による意見陳述権行使のため、ガバナンス委員会での審議内容を監査等委員会でも共有することで両委員会の役割分担を図っています。
最高経営責任者の後継者計画(プロセス)
当社は、最高経営責任者の後継者計画に関して、後継者育成をアイカ工業㈱およびアイカグループの持続的成長を支える重要事項と捉え、経営者としての資質や役員として求められる人物像などの要件や評価基準を明確にして、適切な部署への配属、必要な業務の経験、外部研修の機会を通じて、当社の最高経営責任者として相応しい能力と資質を備えた後継者の育成を図っています。
一定数の後継者候補を選抜し、要件および評価基準への適合性評価をはじめ、多面的な人材評価や業績評価を年度ごとに行います。ガバナンス委員会は、各後継者候補の人材評価結果・業績評価結果に加え、配属、業務経験、外部研修の受講結果などの情報提供を受け、後継者候補に対する育成計画の妥当性をモニタリングします。また、すべての取締役を対象に、最高経営責任者として適任と思われる人物を選ぶアンケートを毎年実施し、結果を後継者候補の見直しに反映しています。
会議体とその役割
会議体 | 構成員 | 役割 |
---|---|---|
取締役会 | 社内取締役および 社外取締役 |
・執行部門の選解任、取締役候補者の指名 ・最高経営責任者の後継者計画の監督 |
ガバナンス委員会 |
社外取締役、代表取締役会長、 代表取締役 社長執行役員、常勤監査等委員 |
・経営陣幹部※、執行役員の選解任案の検討 ・最高経営責任者の後継者計画の運用管理 |
※取締役(社外取締役除く)、監査等委員である取締役(社外監査等委員除く)
取締役報酬
当社取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く)の報酬は、固定報酬である「月額基本報酬」と、業績に応じて変動する「業績連動報酬」および「株式報酬」で構成されています。また、監査等委員である取締役および社外取締役の報酬は、その役割と独立性の観点から、月額基本報酬のみで構成されています。
取締役の報酬などの額
区分 |
報酬などの総額 (百万円) | 報酬などの種類別の総額(百万円) |
対象となる役員の員数※1(人) | ||
---|---|---|---|---|---|
基本報酬 | 業績連動報酬 | 非金銭報酬※2 | |||
取締役(監査等委員を除く) 〈うち社外取締役〉 |
299 〈16〉 |
218 〈16〉 |
67 | 13 | 8 〈3〉 |
取締役(監査等委員) 〈うち社外取締役〉 |
40 〈17〉 |
40 |
― | ― | 3 〈2〉 |
※1 2023年6月23日開催の第123回定時株主総会終結の時をもって退任した取締役2名を含めています。
※2 譲渡制限付株式報酬制度に基づく当事業年度における費用計上額を記載しています。
基本報酬
取締役の基本報酬は月例の定額報酬であり、役職ごとの基準額をベースに、外部公表されている他社の水準や会社の業績などを勘案し決定しています。
業績連動報酬
取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く)に対する業績連動報酬は、各事業年度の業績が確定した時点で、個別評価(S、A、B、C、Dの5段階)し、役職ごとの基準額をベースに個別報酬を決定し年1回支給しています。個別評価は、連結・個別の売上高・利益(営業利益など)の伸び率、期首予算に対する達成率、担当業務の評価、中期経営計画進捗状況などを勘案し決定しています。当該指標を選択した理由は、事業年度ごとの業績向上に対する意識を高めるために最も適切な指標であると判断したためです。また、業績連動報酬の報酬総額に対する構成比率は15%から20%を目安に、役割・役職・役位に応じて決定しています。なお、業績連動報酬の報酬総額に対する2023年度における構成比率は、上記指標の達成状況を総合的に勘案し26.9%となっています。
株式報酬
取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く)に対する株式報酬については、当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えるとともに、株主の皆さまとの一層の価値共有を進めることを目的に、年1回、役職ごとの基準額をベースに会社の業績などを勘案して対象取締役に付与しています。株式報酬は譲渡制限付株式とし、役職ごとの基準額をベースに会社の業績などを勘案し決定します。
<取締役の評価>
取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く)の個別評価は、代表取締役会長 小野勇治および代表取締役 社長執行役員 海老原健治が行い、ガバナンス委員会において個別評価を含む報酬額水準の妥当性を確認しています。代表取締役会長および代表取締役 社長執行役員の評価は、ガバナンス委員会において報告され、評価プロセスや評価に対する考え方を確認することで客観性や公正性を担保しています。
<役員報酬の決定方法>
取締役の報酬については、株主総会の決議により決定された報酬総額の上限額の範囲内、かつ、委員長を社外取締役が務め、委員の過半数を社外取締役で構成するガバナンス委員会の答申を踏まえ、取締役会の授権を受けた代表取締役会長 小野勇治および代表取締役 社長執行役員 海老原健治が上記算定方法に則り決定しています。授権した理由は、業務全般を把握している代表取締役会長および代表取締役 社長執行役員に授権することが合理的と考えられるからです。
<役員の報酬等の額の決定過程における活動内容>
役員の報酬などの決定過程においては、社外取締役を中心に構成されるガバナンス委員会において会社業績と担当業務業績との割合や評価ランクと増減率との関係などについて、成果および責任・客観性・透明性を高めるため意見交換を行い、答申しています。
政策保有株式
当社は、取引先との関係の構築・強化や業務提携などの観点から当社の企業価値の向上に資すると判断する場合、当該取引先などの株式を取得し、保有しています。しかしながら、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかを取締役会で定期的に検討し、保有意義が少ない株式については削減・売却をすすめ、原則、政策保有株式を縮減することを基本方針としています。その方針のもと、年2回、取締役会において個別銘柄ごとに取引内容・取引金額・今後の取引方針などを確認し、保有意義の少ない株式については売却することとしています。なお、保有の妥当性が認められる場合にも、縮減の基本方針に則し、資本政策や市場環境などを考慮の上、全部または一部を売却することがあります。
政策保有株式の議決権行使については、保有先および当社双方の企業価値向上に資するかどうか、株主価値の毀損があるかなどを総合的に勘案し行使しています。また、業績の長期低迷、重大なコンプライアンス違反の発生などの要注意事象がある場合、十分な調査・情報収集を行い、議案に対する賛否を判断しています。
内部統制活動
アイカグループは、会社法に従い、取締役会で「内部統制システム構築の基本方針」を決議し、取締役会の監督機能、リスク管理体制、コンプライアンスの実効性を高めるための仕組みづくりなどの強化を図っています。内部監査室は、内部監査規程に基づき実施する定期的な監査や関係部署へのヒアリングを通じてこれらの整備・運用状況を把握し、内部統制システムが有効であることを確認しています。また、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制報告制度に対応するため、「内部統制委員会」を設置し、その仕組みが適正に機能することを継続的に評価することにより、財務報告の信頼性の維持・向上を図っています。
毎年、内部統制委員会にて金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の整備・運用状況の報告、およびこれに基づく内部統制報告の承認、ならびに当期の活動計画の承認を得ています。
海外グループ会社のガバナンス強化
当社は、ここ10年余りの間に、M&Aなどを通じてアジアを中心に事業領域を拡大し、40を超える海外連結子会社を有する状況になりました。それぞれの国が法的・文化的・経済的に固有な環境を持っている中、アイカグループ全体のガバナンスフレームを構築するため、2020年度より「海外グループガバナンス委員会」を設置しています。
本委員会は、海外企画部・法務部・内部監査室・財務統括部・人事部・品質保証部・サステナビリティ推進部・経営企画部・情報システム部・開発企画室・総務部・海外事業統括会社が参加しており、重要度の高いテーマに対し、具体的なアクションプランを策定し、PDCAを展開しています。
本委員会が主体となり、事業のリスク管理を行うとともに、法令・規制の遵守のみならず倫理的な事業運営や社会的責任を果たすための管理体制の強化を進めています。今後も、アイカ工業㈱、海外事業統括会社、海外グループ各社が連携し、アイカグループの一体感の醸成を図るとともに、アイカグループガバナンス体制の向上に努めます。