リグニンフェノール樹脂を使用した合板・LVL用接着剤を実用化

  • 接着剤

No.123D14
2022年6月6日

リグニンフェノール樹脂を使用した合板・LVL用接着剤を実用化
植物由来原料の活用でサステナブルなものづくりに貢献

 アイカ工業株式会社(代表取締役 社長執行役員:海老原健治 本社:愛知県名古屋市中村区)は、植物由来の未活用資源(バイオマス)である「リグニン」を原料にもちいた「リグニンフェノール樹脂」を使用した、合板およびLVL(Laminated Veneer Lumber、単板積層材)向け接着剤「合板・LVL用バイオフェノール」を開発し、実用化に成功しました。

  • ▲リグニンの粉末

  • ▲合板・LVL用バイオフェノール(左)と従来品(右)

開発の背景

 SDGs(持続可能な開発目標)が社会に浸透しさまざまな場面で取り組みが進められる中、お客さまからも地球環境に配慮した製品に対するご要望が増加しています。樹脂製品を扱う当社としても、化石由来原料から持続可能な資源への転換を図り、バイオマス原料を活用した製品の開発に取り組んでいます。
 このたび、非可食性バイオマス原料として注目が集まっている「リグニン」とフェノール樹脂を組み合わせた「リグニンフェノール樹脂(Lignin-Phenol Formaldehyde Resin; LPF)」を使用した、合板およびLVL向け接着剤「合板・LVL用バイオフェノール」を開発し、実用化に成功しました。従来のフェノール樹脂接着剤は化石燃料由来の原料のみであるのに対し、合板・LVL用バイオフェノールは、植物由来のバイオマス原料を15%含んでいます。針葉樹合板の生産には年間107,000tの接着剤が使用されており、その一部をバイオマス原料に置き換えることで、枯渇性資源の使用削減につながります。また、植物由来のバイオマス原料は、廃棄燃焼する際に二酸化炭素(CO2)を排出しても、成長過程で吸収したCO2が大気に戻るのみであることからカーボンニュートラルな資源と見なされます。
 合板およびLVLのメーカーに提案し、地球環境に配慮したものづくりの発展に貢献してまいります。

※2022年2月8日時点合成樹脂工業協会統計より。

リグニンフェノール樹脂とは

 植物を構成する3大要素として、セルロース、ヘミセルロース、リグニンがあります。中でもリグニンは、植物を構成する上で天然の接着剤として機能しています。セルロースとヘミセルロースは製紙原料として広く利用される一方、副産物として同時に抽出されるリグニンは活用が進んでおらず、ほとんどが焼却・熱回収されるにとどまっていました。しかし、持続可能な社会の形成に向けてバイオマス原料の活用がより一層求められる中、食料・飼料にならない非可食性バイオマス原料として、注目が集まっています。リグニンは地球上に豊富に存在しており、その活用が進めば、石油から非可食な植物資源に原料を転換することが可能となり、化学製品のグリーン化の促進への寄与が期待されています。

「合板・LVL用バイオフェノール」の特長

■非可食性バイオマス原料の「リグニン」を活用している
非可食性バイオマス原料として注目が集まっている「リグニン」とフェノール樹脂を組み合わせた「リグニンフェノール樹脂」を使用しています。接着剤全体に占めるバイオマス原料(リグニン)の比率は15%です。

■バイオマスマーク取得済み
一般社団法人日本有機資源協会の認定試験に合格し、バイオマスマーク(バイオマス度15%)を取得しています。

■臭気が非常に少ない
ホルマリン臭気が抑えられており、作業環境の向上に寄与します。

■性能・作業性は従来品と同等
従来のフェノール樹脂と同等の作業条件で安定した接着力が得られるとともに、耐水性・耐候性に優れています(ただし、樹脂の色調は赤褐色から黒褐色となり、接着層も黒くなります)。

製品概要

■製品名 合板およびLVL向け接着剤「合板・LVL用バイオフェノール」
■用途 合板およびLVLの製造

年間販売目標

 1億円
 

以上

注)このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、ご覧になった時点で内容が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。なお、最新の情報は、 こちらよりお問い合わせください。

 

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