Q&A

(1)モイス全般に関するQ&A

モイスは、古来からの天然の素材「土壁・木」の自然力を手本として開発された新しい建築資材です。モイスはオールドセラミックスの基材に天然の鉱物(バーミキュライト)を加え構成されています。モイスは、セラミックでありながら木材のように粘り強く、湿度の調整や消臭効果にすぐれた土壁の機能を併せ持った建材です。

モイスは、ケイ酸質、石灰質材料、補強繊維、バーミキュライトを主成分としています。これらの材料を抄造方式(製紙の製造方法)で形成し、オートクレーブ養生をします。これにより寸法安定性や加工性、断熱性に優れた軽量な不燃材が出来上がります。
モイスの主原料である石灰質材料はスサ等と混ぜ合わせ、漆喰(しっくい)に使用されています。モイスもおなじ性能をもっています。漆喰は湿度の調整にすぐれ、カビがつきにくく、防火性が高いため古くから城や土蔵に使用されてきました。

モイスは、居住者の健康と安全のために開発されたボードです。大きな特長として、調湿性、ビスの高い保持能力、優れた加工性、曲げ性能、TVOCの吸着・無害化、資源循環型建材が挙げられます。

  1. 調湿性・抗かび性
    モイスはアルカリ質で調湿性があるため、アトピーや喘息の原因となるカビやダニの発生を抑制します
  2. ビスの高い保持力
    モイスは粘り強いため、釘での固定が可能で、施工段階で接着材を使用する必要はありません。また、間接照明や絵画を壁に取り付ける時も下地の補強が必要ありません。
  3. 優れた加工性・曲げ性能
    モイスはセラミックでありながら粘り強さがあるため木材のような加工性を有し、現場でも簡単に加工できます。
    また、現在の住宅はインテリアだけでなく、内装にも様々なデザインが要求されています。室内に曲面のデザインが必要な場合でも、モイスは曲げ加工を簡単にすることが出来ます。
  4. 有害物質(ホルムアルデヒド)の吸着・固定化
    モイスは材料自体から有害物質を発生することはありません。また、他の建材や家具等から出る有害物質(ホルムアルデヒド)を吸着・固定化します。
  5. 資源循環型の機能建材
    現場で余ったモイスの端材を粉砕すれば、ケイ酸肥料として使用できます。

次世代の内装材として出発した多機能けい酸カルシウム板(モイス)は、「モイスNT内装材」と「モイスTM耐力面材」の2種類に進化しました。
モイスNT内装材とモイスTM耐力面材は、かさ比重、曲げ強度だけでなく風合が異なります。従って、相互に転用は出来ません。
使用内容、用途に適した製品をお選びいただき安全な施工に心がけて下さい。

  • モイスには「モイスNT内装材」と「モイスTM耐力面材」があるそうですが、その違いは何ですか?の図

  1. 「モイスNT内装材」
    けい酸カルシウム板をベースに天然鉱物のバーミキュライト、珪藻土を配合した「調湿性」「施工性」「耐火性」「耐久性」に優れた多機能内装仕上げ材です。
  2. 「モイスTM耐力面材」
    モイスの優れた「耐震性」「耐火性」「防露性」を活用し、さらに耐力性能を強化した木造戸建て住宅の外壁耐震用下地材です。TMは、T(耐力)、M(面材)の意味です。

まず、調湿性について説明します。調湿性とは、室内の相対湿度が高いと湿気を吸湿し、相対湿度が低くなると放湿して、一定の湿度を保つ性質のことです。人間の感覚では、気温20~25度、湿度は40%~60%位が快適域とされています。そもそも、従来の住宅は隙間風が吹き込み気密性の低かったことと無垢材など吸放出性能のある建材が大量に使用されていたため、結露が起こりませんでした。現在の住宅は、高気密、高断熱の住宅が主流になったこととエアコンの発達により、室内の温度はある程度コントロールが可能となりました。しかし、住宅の気密性が高まり、吸放出性のない新建材が主流となったため、湿度が室内に停滞してサッシや壁内等が結露してしまうという新たな問題が発生しました。結露の問題を解決するために、気密性のない家を造ることは熱効率、省エネの観点からも不可能なので、調湿建材の吸放出性を利用して室内の湿度を調整しようと考えました。調湿性建材を使用する目的として、高湿時に湿気を吸収し結露の発生をおさえるとともに、不快指数を減らします。乾燥時には湿気を放散し、乾燥による風邪等の健康への影響を抑えます。

現在市販されているものとして珪藻土や漆喰のような塗壁、タイル系の調湿建材、ボード系の調湿建材があります。その中で塗り壁や、タイル系調湿建材単体では壁として自立しないため下地材と併用しなければなりません。しかし、モイスは点描調の意匠があり、目立ちにくいピンネイルなどで柱への直貼りができます。接着剤も要りませんので、施工が容易で、接着剤によるVOC発生もありません。

モイスは製造段階で、天然鉱物バーミキュライトを混ぜて自然な意匠性を出していますので、切断したり、削ったりしてもモイスの意匠がそのまま現れます。

汚れた場合は、中性洗剤を使って雑巾拭きするか、サンドペーパーで研磨してください。

産廃処理をする場合は、瓦礫、ガラス類と同様に安定型産廃として処理できます。活性炭のように調湿や消臭効果があるので余った端材を小さくカットして押入れや下駄箱、冷蔵庫にいれておけば、調湿材や消臭材としても活用できます。しばらく使って消臭効果が薄れてきても、天日干しをすると効果が蘇ります。

日本名では蛭石(ヒルイシ)と呼ばれており、熱であぶると蛭のように膨くらむことからこの名前がつけられています。加熱処理すると膨らむので、軽量骨材や自動車のブレーキパットに使用されています。他に土中の水分や肥料の保持剤として園芸用の土に使用されています。ゴルフ場のグリーンが一年中緑を維持しているのは、バーミキュライトの効果があるためです。

(2)モイスTMに関するQ&A

地震や台風によって建物に生じる力を負担しているのは、柱や梁ではなく耐力壁と言われる部分です。
その耐力壁の強さを表すのが壁倍率です。壁倍率が1というと約200kgf/mの耐力をもつ壁で、この数値が大きいほど強い壁材ということになります。

  • 壁倍率ってなんですか?の図

  • モイスTMの壁倍率は?の図

  • 代表的な耐力壁とその倍率(強さ)

  • モイスTMは他の耐力面材に比べて強いの?の図

主成分が無機系材料で構成されているモイスTMは、優れた防耐火性能を発揮します。

MOISS TMの透湿性によって壁体内部の結露が外部に排出され、カビの発生や木材の腐食を防ぎ、健康で耐久性のある住宅を実現します。

  • 壁体内部で結露しますか?の図

MOISS TMは無機材料で構成されており、シロアリの好む成分を含まないため、防蟻処理が不要なうえ、防蟻剤によるシックハウス症候群のおそれもありません。

MOISS TMは気密材として認められている石膏ボードや合板よりも気密性が高いので、冬場の冷気や夏の熱気の侵入を抑え、壁体の断熱性能が向上します。

  • 気密性はいいですか?の図