けい酸カルシウム板にCO2を固定化する技術を確立

  • 不燃化粧板

No.125P57
2025年3月4日

けい酸カルシウム板にCO2を固定化する技術を確立
実用化に向けて開発中の製品をJAPAN SHOP 2025で参考展示

 アイカ工業株式会社(代表取締役 社長執行役員:海老原健治 本社:愛知県名古屋市中村区)は、けい酸カルシウム板にCO2を固定化する技術を確立しました(特許出願中)。今後、実用化に向けた技術開発を行っていきます。

  • ▲CO2を固定化したけい酸カルシウム板

開発の背景

 当社は、脱炭素社会の実現に貢献すべく、2050年度カーボンニュートラルを宣言しています。中期経営計画のマテリアリティ(重要課題)のひとつとして「気候変動対応」を組み込み、グループ一丸となって温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。
 中でも、けい酸カルシウム板や押出成形セメント板を製造するアイカテック建材の3工場では、高温の蒸気を長時間使用する工程があり、アイカグループ国内拠点のCO2排出量の約30%を同社が占めることが課題となっていました。そこで、けい酸カルシウム板の廃材粉にCO2を固定化し、製品の原材料として活用する技術を確立しました。CO2は炭酸カルシウムとして製品中に固定化されるため、半永久的に固定され続けます。3×6サイズ(910×1,820mm)・厚さ6mmのけい酸カルシウム板1枚あたりに約200~300gのCO2が固定できる見込みであり、仮に当社で製造している全けい酸カルシウム板に本技術を展開できれば、CO2の固定量は1年間で約770t程度となる見込みです。
 この技術によって開発したけい酸カルシウム板は、3月4日より4日間開催される国内最大級の店舗総合見本市「JAPAN SHOP 2025」で参考展示しています。また、実用化に向け、引き続き技術開発を進めてまいります。当社は今後も、サステナブルな製品を開発し、SDGsの達成とサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

確立した技術について

CO2固定化のメカニズム

 けい酸カルシウム水和物がCO2と反応して炭酸化する仕組みを活用した技術です。けい酸カルシウム板の廃材粉を水の存在下でCO2と接触させることで、CO2は炭酸カルシウムとして製品中に固定化されます。固定化の効果は、半永久的に続きます。
 なお、けい酸カルシウム水和物へのCO2固定化技術の開発およびその原理の究明、けい酸カルシウム板中に固定化されたCO2の定量化、さらなるCO2の削減技術の開発について、東京大学大学院工学系研究科の野口貴文教授・丸山一平教授と取り組んでいます。

製造方法

■直線的な製造プロセス(従来の製造方法)

■循環型の製造プロセス(目指すべき製造方法)

※現状は液化炭酸ガスよりCO2を供給していますが、将来的にはボイラーの排ガスを回収・濃縮して活用することを目指しています。

けい酸カルシウム板とは

 けい酸カルシウム板は、珪砂などのけい酸質原料と、石灰などのカルシウム質原料を主原料として製造される不燃性の建築素材です。寸法安定性やコストパフォーマンスに優れるため、教育施設、医療介護施設、商業施設、倉庫・工場から住宅まで、さまざまな空間の壁面材として一般的に使われています。高温高圧の環境下で化学反応を進める「オートクレーブ養生」によって硬化させ、製造されています。

以上

注)このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、ご覧になった時点で内容が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。なお、最新の情報は、 こちらよりお問い合わせください。

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